精神病院では、国の施策で長期入院患者(固定資産、という呼称すらある)がどんどん減っていることもあり、代わりに認知症の患者さんを「お客さん」としてどんどん迎え入れようという動きがあることは、既にいろんなところで指摘されている通りである。
そんなのとんでもなーい!!と鼻息荒くプンスカしていたわけだけれども、プンスカしたところで、どこにも行き場のなくなった患者さんや介護者にとって、その困難な状況を変えてくれるだろう救いの糸として、目に映ってしまうだろうことは想像に難くない。
いまのこの状況を変えてくれるならなんだっていい。
受け入れてくれるところがあるんだったら、どこだっていい。
既得権益を持っている人たちが、自分たちにとって都合のよい方向に物事をもっていこうとする流れもそう簡単には変わらない。
両者の利害はたぶん一致してしまう。
本当にこの流れを止める方法はないのだろうか??とずーっとぐるぐると思案していたらば、ふと、精神病院を収容所だと思うからそんなのダメだ~!!ということになるけれども、精神病院がホーム、居心地のよいもう一つのわが家になるならばどうだろう?と思考を転換する。
これなら、既得権益を持つ人たちの利益を損なうこともない。ただ「固定資産」を「管理」するのではなく、一人の人として向き合って温かいケアと温かい場所を提供する。
精神疾患がある人も認知症のある人も、ともに地域で暮らせる人たちは地域へとつなげていく。
それを基本に、自宅で暮らせなくなった人たちの最後の砦として、温かい場所を提供する。
医療スタッフも介護スタッフも人材不足が深刻になっていく中で、「管理」を「適切なケア」へと変えていくことと、精神病院をなくしていくことは、どちらのほうがより現実的な解決策になりうるのだろうか。